2026年10月9日、映画『汝、星のごとく』が公開されました。原作は2023年の本屋大賞を受賞した凪良ゆうの同名小説。瀬戸内の島で出会った二人の15年を、藤井道人監督、横浜流星と広瀬すずのダブル主演で描きます。この記事では、これから観る人に向けて、結末に触れずに作品の輪郭をまとめます。

作品データ

公開日: 2026年10月9日(金) / 上映時間: 135分 / 映倫区分: PG12 / 配給: 東宝

監督: 藤井道人 / 脚本: 安達奈緒子 / 音楽: 大間々昂 / 主題歌: RADWIMPS「夕星-ゆうづつ-」

原作: 凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)

予告編

動画: YouTube「東宝MOVIEチャンネル」公式チャンネル

あらすじ(結末には触れません)

島で出会う二人

舞台は瀬戸内の小さな島。誰が誰とどこにいたか、夕方には島じゅうに知れ渡ってしまうような場所です。

高校生の井上暁海(あきみ)は、この島で生まれ育ちました。父は家を出て、島の外から来た刺繍作家の女性・瞳子と暮らしています。母はその帰りを待ち続け、少しずつ心のバランスを崩していきます。暁海は母の機嫌をうかがいながら、「かわいそうな家の子」という島の視線に耐える毎日を送っています。

そこへ京都から転校してきたのが、青埜櫂(あおの かい)です。櫂の母は恋人を追いかけて島へ渡り、スナックを開きました。恋愛にのめり込んでは傷つく母の面倒を、櫂は子どものころからずっと見てきました。

親に守られるはずの年齢で、親を守る側に回ってしまった二人。浜辺で言葉を交わすうちに、互いが初めての「分かってくれる相手」になっていきます。

夢と、島に残る理由

櫂には夢があります。物語を書くことです。インターネットで知り合った作画担当の尚人と組み、漫画の原作者としてデビューを目指しています。やがて二人の作品は編集者の目に留まり、連載が決まります。

高校を卒業したら、一緒に東京へ行こう。そう約束していた二人ですが、暁海は不安定な母を一人にできず、島に残って就職する道を選びます。櫂は東京へ、暁海は島へ。遠距離の恋が始まります。

すれ違っていく時間

櫂の漫画はヒットし、収入も暮らしも変わっていきます。一方の暁海は、会社勤めをしながら母の世話と家計を背負い、島から出られないまま年を重ねます。

たまに会えても、話がかみ合わない。櫂は暁海を「養ってやりたい」と思い、暁海はその言葉に小さく傷つく。好きな気持ちは変わらないのに、見ている景色が違ってきてしまう。物語は、17歳から30代までの15年を追いかけます。

二人を見守る大人たち

二人のそばには、少し変わった大人がいます。高校の化学教師・北原と、暁海の父が一緒に暮らす刺繍作家・瞳子です。どちらも、世間の「正しさ」からは外れたところで生きている人。この二人が暁海に手渡すものが、後半の鍵になります。

恋愛映画の形をしていますが、中心にあるのは「親を背負わされた子どもが、どうやって自分の人生を選び直すか」という主題です。

キャストと役どころ

  • 青埜櫂 … 横浜流星。漫画原作者を目指す青年
  • 井上暁海 … 広瀬すず。島に残り、やがて刺繍の仕事に出会う
  • 北原草介 … 長谷川博己。二人が通う高校の化学教師
  • 林瞳子 … 石田ゆり子。暁海の父が一緒に暮らす刺繍作家
  • 青埜ほのか … 尾野真千子。櫂の母
  • 井上志穂 … 木村佳乃。暁海の母
  • 久住尚人 … 松村北斗。櫂と組む漫画の作画担当
  • 二階堂絵理 … 中村アン。編集者
  • 植木渋柿 … 濱田岳。編集者

横浜流星と広瀬すずは、同じ凪良ゆう原作の映画『流浪の月』(2022年)にも出演しています。当時は主人公・更紗(広瀬)と、その恋人・亮(横浜)という関係でした。同じ原作者の作品で、まったく違う形の二人をもう一度観られるのも、本作の楽しみのひとつです。

→ 関連: 横浜流星の出演作まとめ

藤井道人監督 × 横浜流星

藤井道人監督は『新聞記者』『余命10年』『正体』などで知られます。横浜流星とは『青の帰り道』(2018年)以来、『ヴィレッジ』(2023年)、『正体』(2024年)と作品を重ねてきました。『正体』では、横浜流星が日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞しています。

脚本は、ドラマ『透明なゆりかご』『おかえりモネ』などを手がけた安達奈緒子です。

原作はどんな小説か

原作は2022年8月に講談社から刊行され、2023年の第20回本屋大賞を受賞しました。凪良ゆうにとっては『流浪の月』(2020年)に続く二度目の本屋大賞で、第168回直木賞の候補にもなっています。2025年7月には文庫化されました。

小説は暁海と櫂の視点が交互に入れ替わる構成で、同じ出来事が二人にどう違って見えていたかが少しずつ明らかになります。映画を観てから読むと、スクリーンでは語られなかった心の内側を補う読書になります。

『汝、星のごとく』凪良ゆう 書影

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瀬戸内の島で出会った暁海と櫂の15年を、二人の視点を交互に入れ替えながら描く長編。2023年本屋大賞受賞作です(リンク先は講談社文庫版)。

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続編『星を編む』

2023年11月には続編『星を編む』が刊行されています。北原先生の過去を描く「春に翔ぶ」、編集者たちを描く「星を編む」、本編のその後を描く「波を渡る」の3編を収めた一冊です。本編の結末を前提にしているので、読むのは映画か原作のあとがおすすめです。

『星を編む』凪良ゆう 書影

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『汝、星のごとく』の続編。北原先生の過去、編集者たちの物語、そして本編のその後を描く3編を収録しています(リンク先は講談社文庫版)。

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映画の世界をもっと知る本

公式ビジュアルブックと、原作をコミカライズした漫画版も刊行されています。

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『星をさがしに 映画『汝、星のごとく』公式ビジュアルブック』

映画の公式ビジュアルブック。場面写真やロケ地の風景を、鑑賞後にゆっくり見返せます。

漫画『汝、星のごとく』1巻 書影

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漫画『汝、星のごとく』(全3巻)

古里こう作画による漫画版。『Kiss』(講談社)で連載されました。小説より先に、絵で物語をつかみたい人に。

→ 関連: 凪良ゆうの作品一覧

観る前に知っておきたいこと

  • 予習は不要です。 原作を読んでいなくても物語は追えます
  • PG12です。 家庭の問題や病気など、重い題材を扱います
  • ロケ地は愛媛県今治市など。 しまなみ海道周辺の風景が物語の大きな要素になっています
  • 主題歌はRADWIMPS「夕星-ゆうづつ-」。 夕星は「宵の明星(夕方に見える金星)」のことで、作品のタイトルとも深く関わります

観終わったあとに

結末の意味、タイトルの解釈、原作との違いは、ネタバレありの別記事にまとめました。鑑賞後にどうぞ。

→ 『汝、星のごとく』考察: タイトルの意味と結末、原作との違い(ネタバレあり)